あなたは、脾臓はありますか? 〜病院受診が必要な時〜
前回の続きです。
先天的もしくは術後で脾臓がない方、脾臓の機能が低下した方の予防の話です。
前回下記の①についてお話しましたが、今回は②〜④についてお話します。
① ワクチン接種をしましょう
② 発熱したら病院を受診しましょう
③ 熱帯地方へ渡航予定の場合は、病院を受診しましょう
④ 犬に咬まれたら抗菌薬投与が必要になるため病院受診をしましょう
OPSI(OPSI: overwhelming post-splenectomy infection 脾摘後重症感染症)は死亡率が高いため、「OPSIを発症しないように予防する」、これが重要です。
② 発熱したら病院を受診しましょう
そのまま、「大丈夫かな?」と経過をみていて、重症化してしまっては遅い!!
OPSIは最初の24時間での死亡が最も多いと言われており、その場合は早急な対応が必要となります。基本的に発熱時は、抗菌薬で治療を行います。自分で大丈夫と判断せず、原因を調べて適切な対応をするためにも、病院受診をお願いします。
また、無脾症の場合に発熱時用として予防的に抗菌薬を処方することがあります。
発熱しても病院受診に時間がかかる(2時間以上)場合に、かかりつけ医の判断で「熱がでたら飲んでね」と、抗菌薬を前もって処方しておくというプラクティスを取ることがあります。「アモキシシリン」といった抗菌薬が処方されることが多いと思います。
③ 熱帯地方へ渡航予定の場合は、病院を受診しましょう
熱帯地方へ渡航はマラリアやバベシアといった寄生虫の感染のリスクになると言われており、マラリアの予防内服や蚊よけが必要になります。
*マラリアの流行地かどうか検索方法
FORTH(日本語のサイト) https://www.forth.go.jp/index.html
Fit For Travel(英語のサイト) https://www.fitfortravel.nhs.uk/home
CDC For Travelers(英語のサイト) https://wwwnc.cdc.gov/travel
*蚊よけ
DEET入りの虫除けスプレーの使用が推奨されています。日本ではDEET 30%の高濃度スプレーが購入出来ます。
④ 犬に咬まれたら抗菌薬投与が必要になるため病院受診をしましょう
無脾症の場合は、犬に咬まれた際はCapnocytophaga canimorsusによる細菌感染症がリスクとなります。感染した場合には、菌血症(細菌が血液中をめぐる状態)になり重症化することがあるため、早期に対処しておく必要があります。 そのため、犬咬傷後は、予防的に抗菌薬を内服していただいています。「アモキシシリン・クラブラン酸」といった抗菌薬を5日間処方することが多いです。
ちなみに、Capnocytophaga canimorsusは犬の口腔内に存在する細菌であり、犬の唾液にふれる事が感染のリスクとなります。つまり、咬まれるだけでなく、傷がある皮膚を舐められたり、引っ掻かれた場合もリスクと考えて下さい。
以上になります。
上記でご説明した予防薬や治療薬は、アレルギーがある方など、個人によって処方内容が変わることがありますので、専門医療機関を受診し医師とご相談下さい。
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